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【映画】 『デス・プルーフ in グラインドハウス』

2007.09.12 Wednesday

文字どおり殺人的に暑かった夏も、そろそろ終了。私は夏生まれの夏っ子なので、夏が終わるのはとっても寂しい……。なんて言ってますけど、実際は海にも山にも行かず、海外も国内も旅行せず、家で寝てるか本読んでるか映画見ているか、「別に、秋でも冬でも春でもやってること同じじゃん」というエセ夏っ子です。

でも。私なりに夏を満喫しました! そう、夏のお洋服で! 洗いざらしのTシャツにジーンズ、足はゼッタイに素脚、靴はゼッタイにミュール、もちろんペディキュア必須。タンクトップやホルターネックも必需品。夏はできる限り肌をさらして、夏の空気を全身で感じるのが好き。って、露出好きなのかって? んー特にそういうわけではありませんが、単純に気もちがいいんですよね、素朴な意味で開放感も味わえますし。ま、見せて減るもんじゃないでしょ(肩とか背中くらいは)。というか逆に、30過ぎたら、見せないと減りますから!!!(ヒッシ) 



そんなわけで、そろそろ秋だというのにしつこくタンクトップを着て、タランティーノの新作『デス・プルーフ in グラインドハウス』を見てきました。

Tシャツとか生脚とかヘソ出しとかミニスカとかホットパンツとか、そういう夏ファッションが大好きな方、この映画は必見。さらに言えば、そんなTシャツや生脚やヘソ出しやミニスカやホットパンツたちが、変態男をボッコボコにしたりとか、ハイテンションでエッチでラヴリーなガールズ・トークを繰り広げたりとか、そういうの大好きな方、この映画は必見。

つまり。放蕩娘たちは、絶対にこの映画が好きなはずなの!!!

この映画、どうして109が協賛してないのかしら? それが無理なら、せめて109でキャンペーンを打てばよかったのに! そう思わずにはいられないくらい、マルキューでキャーキャー言いながらホットパンツとかミニスカを試着してるような放蕩娘たちが、わんさか登場してばっちりキメてくれる。そんな映画って、ありそうでない。

だけどこの作品、マニアックな映画ファン男子向けにしか宣伝されていない様子なのが、もったいなさすぎ。確かにマニア的引用に満ちた映画だけど、そんなの1つもわからなくたって全然OK。実際、そんな引用などちっともわからなかった私でしたが(ラス・メイヤーの『ファスター・プッシーキャット キル!キル!』のTシャツだけはわかった)、今年見た映画で一番面白かったかも〜〜ってくらい思いっきり楽しんじゃいましたから。とにかくクール! とにかくホット! どっちだよ、って。別にどっちでもいいんですが、とにかくイカシた映画ナンバー1!




超可愛いチアガール衣装。演じるのはメアリー・エリザベス・ウィンステッド。なんと、あのエヴァ・ガードナーの遠縁にあたるんだとか。




この映画は、簡単に言ってしまえば、ガールズ・トークと、カー・アクションでできている映画。二部構成になっていて、一部はテキサス州オースティン、二部はテネシー州レバノンが舞台。それぞれの場所で、セクシーな放蕩娘たちが、恋バナやらちょっとエッチな話で大盛り上がり(たとえば、「アンタのお尻デカ過ぎ」「何言ってんのよこの尻に黒人男も白人男もついてくんのよ。私の尻は男の歯型でいっぱいだよ!」なんていうステキ会話等)。そんな彼女たちをじーっと見つめているのが、ラバー・ダッグにドクロマーク入りシボレー・ノヴァに乗った不気味な中年男。彼の狙いとは一体? 彼女たちはどうなる?! 危うし、放蕩娘!!




ちなみに、タイトルになっている「デス・プルーフ(death proof)」ですが、マスカラや日焼け止めなどで「防水仕様」のことを「ウォーター・プルーフ(water proof)って言いますね。それと同じで、「防仕様」のこと。何が「防仕様」なのかは、ナイショ。

それから、これもタイトルに入っている「グラインドハウス(grindhouse)」ですが、もともとはストリップ劇場のことを指していたのが、やがてポルノ映画館のことを指すようになり、さらに70年代になると、エクスプロイテーション映画(低予算でつくられた安物映画)を上映する映画館のことを指すようになったそうです(劇場パンフレットに寄せられた町山智広氏のコラムより)。

タランティーノは子ども時代に、このグラインドハウスで低予算B級映画漬けの日々を送ったそう。タランティーノが、そうしたエクスプロイテーション映画、つまり、ラス・メイヤーを始めとするポルノ映画や、スラッシャー映画(『13日の金曜日』のようなホラー)や、カーチェイス映画、女囚映画、カンフー映画、ヤクザ映画、といった低予算映画を、現在の作品作りの原点としているのは皆さんご存知のとおり。今回の『デス・プルーフ』でも、CGではない衝撃的なカー・チェイスが楽しめます。ダッジ・チャレンジャーVSダッジ・チェイサーの息をのむカー・チェイスは、女子も必見。




元祖放蕩娘B.Bと同じポーズで。演じるのはシドニー・タミーア・ポワチエ。なんと、シドニー・ポワチエとジョアンナ・シムカス(『冒険者たち』!)の娘。現在のシドニー・ポワチエ&ジョアンナ・シムカスのツーショット画像はこちら




それにしても。タランティーノって、つくづく、センスがいい。「カッコイイとはどんな状態か」について、彼ほどわかっている人はいないと思うのです。本当のカッコイイって、100%完璧にカッコイイことじゃあない。本物のカッコイイって、ちょっぴりカッコ悪くなきゃいけない。でも、そのカッコ悪さのさじ加減が、実はものすごく難しくて。もちろん本人が気づかないまま、天然でカッコ悪カッコイイを実現できてしまう場合もあります。だけど、タランティーノは違う。彼は自分が意図したとおりに、そのカッコ悪さの絶妙なバランスを調整できてしまう。芸術家っていうより、職人的。手練(てだれ)ってやつですよね。

そして、そんな「カッコイイとはどんな状態か」を知っている彼だから、カッコイイ女子を描かせても天下一品。『パルプ・フィクション』や『キル・ビル』でのユマ・サーマンのカッコよさ、『ジャッキー・ブラウン』でのパム・グリアーのカッコよさを見れば、一目瞭然。

実は私、この『デス・プルーフ』を見たとき、「こういうカッコイイ放蕩娘を描いたのが、どうして女性じゃないのかしら?!」と、ちょっぴり悔しく思ってしまったのですが、実は女性って、「カッコイイとはどんな状態か」って、それほど考えないものなのかもしれません。「美しいとはどんな状態か」とか「可愛いとはどんな状態か」とか「優しいとはどんな状態か」とか「正しいとはどんな状態か」とか、そんなことは考えるのかもしれませんけど。そう言えば、私が愛してやまない『緋牡丹博徒』シリーズや『極道の妻たち』シリーズなどには、叫びたくなるほど(カッコイイ女が登場しますが、これも女性ではなく男性がつくったものでした。

そういう意味では、カッコイイって、やっぱりある程度は男性的なセンスをあらわす形容詞なのかも。それに、「本物のカッコイイは、ちょっぴりカッコ悪くなきゃいけない」っていうのも、確かに男性的。カッコ悪くなれる勇気や気概って、どうしても女性より男性のほうがある気がしますから(もちろん一概には言えませんけど、平均的に言えば)。本当にカッコイイ大人の男性って、自分がいくらカッコ悪くなってもほとんど気にしない(ように見える)。むしろ、自分から進んで馬鹿になってくれる。ちょっぴりカッコ悪いほうがカッコイイってこと、わかってるんですよねー、カッコイイ大人の男は。

そんな、あえて積極的に馬鹿やってくれる最高にカッコイイ映画、それが『デス・プルーフ in グラインドハウス』。しかも活躍するのは、露出過多気味セクシー&タフな放蕩娘たち!! これを見ずして「カッコイイ」を語るなかれ!






デス・プルーフ in グラインドハウス
Death Proof in Grindhouse

【監督/製作/脚本/撮影】クエンティン・タランティーノ
【製作】ロバート・ロドリゲス
【出演】カート・ラッセル
    ヴァネッサ・フェルリト
    シドニー・タミーア・ポワチエ
    ジョーダン・ラッド
    ローズ・マッゴーワン
    ゾーイ・ベル
    ロザリオ・ドーソン
    メアリー・エリザベス・ウィンステッド
    



■『プラネットテラー in グラインドハウス
  グラインドハウス映画プロジェクトのもうひとつの作品、
  ロバート・ロドリゲスが監督した作品。
  9/22より上映予定。goo情報はこちら


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