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【着物】 名取試験を受験したときのキモノについて。

2009.07.29 Wednesday

先日の記事(「花柳流名取試験を受験しましたの記。」)の続きで、名取試験を受けたときのキモノについて、ちょこっと書きたいと思います。

まず、朝早く起きて、着付けして、神楽坂にある師匠のお稽古場へ。その朝の時点でのキモノは、こんな感じ。




紺の色無地に、鴇色の絽つづれの帯。

そして、この日の髪の毛は、茶色ではなく、黒……。そう、この日は、名取試験を受験する前に、もうひとつ大きな難関がありまして。それは、茶髪に黒髪スプレーを吹きつけて黒髪にする、というコトでした! ……って、別に、茶髪は禁止!というわけではなかったんですけど、一応、礼儀として、一日だけ黒髪にしたのでした。はい。(ついでに、眉毛も黒にしました)

でも、実際、ホントにスプレーで黒髪になるの? とドキドキだったのですが、かなり自然に染まるものですね〜! 私が使ったのは、「フレッシュライト髪色もどし」。シャンプーで洗えば落ちます。



その後、先日の記事(「花柳流名取試験を受験しましたの記。」)にも書いたとおり、築地にある家元先生のお稽古場へ。そこで、松竹衣裳さんに、改めて試験用の着付けをしていただきました。

こんな感じに着付けてもらいました。やっぱり、プロの方に着付けてもらうと、襟のあたりの感じが全然違うなぁと思います。襟のあたりをバシッとキメるのって、どれだけキモノを着ていても難しいですよね。。



紺の色無地に、師匠からお借りした花柳流の踊り帯。
(もちろんこれは、試験終了後の写真です。さすがに試験前はこんな余裕なかったです)



名取試験を受験する際のキモノは「色無地」、帯は「花柳流の踊り帯」、と決まっています。

色無地(いろむじ)とは、一色で染めた無地のキモノのこと。模様はつけない無地ですが、生地に地模様がある場合もあります。

色無地は、とっても便利なキモノで、一つ紋を入れれば略礼装になるし(パーティや正式なお茶会にもOK)、三つ紋を入れれば付け下げや訪問着のような礼装にもなるし、紋を入れなければ軽い普段着にもなります(半幅帯と合わせてもOKだそうです♪)。そういえば、歌舞伎役者・中村勘三郎さんの奥様であり、人間国宝・中村芝翫の娘でもある波野好江さんも、ご自身の著書『初めて買うきもの』(知恵の森文庫)で、色無地を断然オススメされてらっしゃいました。「これほどいろいろな場所で着られて、便利でお洒落な着物はない」とのことです。

そんなわけで、私はたまたまもっていた紺色の色無地を着用。夏なので、素材は絽。

私のもっていた色無地はすべて紋ナシでしたが、もちろん、紋のついた色無地で受験することもできます。ただし、花柳流の「定紋」のついた色無地で受験することだけは、厳禁。なぜなら、花柳流の「定紋」は、名取にならないと使用することができないから、です! なので、名取になることを見越して、花柳流の紋をつけた色無地を新たに仕立てて受験する場合は、その上から布を貼って紋を隠します。実際、受験会場には、四角い布で背紋を隠している方がたくさんいらっしゃいました。

そして、帯は、花柳流の「替紋」が織り出された踊り帯。これは、師匠からお借りしました。先ほども書いたとおり、花柳流の「定紋」は名取でなければ使用することはできません。でも、花柳流の「替紋」ならば、名取でなくても使用してよいのです。なんと! ベンリなシステム!

そう、一般に、紋には、「定紋(じょうもん)」と「替紋(かえもん)(たいもん)」があるのですね。「定紋」というのは公式の紋のことで、「替紋」というのは非公式の紋のこと。規則と例外、という「この世の理(ことわり)セット」の素晴らしい例かと。

左が花柳流の替紋、右が花柳流の定紋。



……って、こうしたさまざまな「掟(おきて)」があるって……、何だか、異様に、楽しい!!! これって、普段、自分がいかにユルユルに生きているか、っていうことの表れですよね。ホント、人って、縛れば自由になりたがるし、自由になれば縛られたがる、っていう、SとかMとかっていうよりもただただワガママというか、メンドクサい生き物だなぁと思いました……。



そうそう、受験をする際には、帯結びにも決まりがありまして。日本舞踊の踊りの後見(こうけん)さん(=舞台の後ろの方で踊り手のサポートをする人)が始めたといわれている、「後見結び(こうけんむすび)」という帯結びをすることになっています。

そう、後見結びと言えば、拙書『色っぽいキモノ』でさんざん書きまくってた『緋牡丹博徒』のお竜さん(藤純子)が締めていた帯結びです!!! そうそう、『修羅雪姫』のお雪(梶芽衣子)も後見結びでしたね! 後見結びについてあんなに熱く書いた私ですが、実は、後見結びをするのは今回が初めてでした。

後見結び、初体験!




(日舞仲間で女優の岡田明香ちゃんに撮っていただきました。ありがとう〜!)

でも、私が今回結んでもらった後見結びは、「花柳流独特の後見結び」なんだそうです。

いわゆる、一般的な後見結びは、こんな感じです。


亀屋染物店」で売っている、後見結びの付け帯。

この写真のように、あらかじめ後見結びの形に作られている付け帯は、踊り用品のお店でよく売られています。自分一人で結ぶのが難しいような帯結びは、付け帯を買っちゃう、っていうのも手ですよね! 後見結びは一人で結べないので(前で結んでから後ろに回すのなら結べますが)、これ、欲しいかも。



あと、もう一つ、今回の名取受験の衣裳で面白かったのが、「抱え帯(かかえおび)」をしなくてはいけない、ということです! 抱え帯とは、この帯の下側に締めている、白い布のこと。




歌舞伎や時代劇をよく見る方はご存知のとおり、江戸時代の女性は、家のなかではキモノの裾をズルズルと長く引きずっていました。でも、外出するときはキモノの裾を上げなくてはいけないわけで、そのためにこの「抱え帯(かかえおび)」でキモノの裾をたくし上げていたわけです。

つまり、この「抱え帯」は、「時代がかった扮装」をするときの大切なアイテムなわけで。現在でも、花嫁衣裳や七五三の女の子の衣裳などで「抱え帯」が使われていますが、それは「機能性から必要」というよりも、「時代がかった衣裳を着ている」ということの表われなのでしょうね。



ちなみに、名取合格者に配られた、「錦や」製の花柳流揃い浴衣の反物。



地味大柄」と書かれていますが、「地味大柄」って一体どんな柄? 



と思ったら、こんな柄でした。



市松模様に、桜と柳。

今後、この揃いの浴衣を着て、花柳流の講習会に参加することになるのです。が……、現在、仕立て代をひねり出す体力がない感じなので(笑)、自分で縫ってみようかなぁ、と、ちょい思案中です! まだまだがんばります(笑)!



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