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【着物】 半幅帯のススメ。夏のキモノ裏話。

2009.07.17 Friday

暑い夏の到来です! でも、夏っていいですよね、「暑いですねぇ〜〜!」って言うだけで、とりあえず間がもつというか、どんな人とも共感しあえるというか、気持ちを分かち合えるというか(笑)。「そんなに普段、間がもたないのかよオマエは?」と言われそうですが、いや、別にそんなことはないんですけども、でも疲れ切っていて頭がまわらない時とか、気持ちが沈みがちで気を使えない時とか、オートマティカリーに通じ合える言葉があるっていうのは単純に良いなぁ(=ラクだなぁ)と、そんなことを暑さでボーっとした頭で考えたりしたのでした(相変わらずどうでもいいことしか考えていない)。

そんな「暑いですねぇ〜〜!」と人々と言葉を交わし気持ちを分かち合うためにも、キモノは有効ですよー! というわけで、今年の夏は浴衣だけじゃなくキモノもガシガシ着る予定、と以前ブログにも書いたとおり、今年の夏はキモノを何かと着ております。



先日、歌舞伎座に歌舞伎を見に行ったときのキモノ。



紺地に観世水の模様の、紗のキモノ。8年くらい前に買ったキモノですが、頬がパンパンに張っていた20代の私には、地味すぎちゃって全然似合わず、一度も袖を通していませんでした。最近、めっきり頬の肉が落ちてきた気がするので(これでも笑)、もしかしてこのキモノも着られるかも?と思い、今回初めて着てみました。キモノって、ちょっと老けてからやっと着られるようになるものが多いなぁと、最近つくづく思います(→詳しくはこちら)。だけど、年とるのも悪くないなと思えるのは、単純に嬉しいことですよね。年をとることで「しゅん」とさせられることって、よっぽど恵まれた環境にいない限りやっぱり普通はどうしても多いので(笑)。





帯は、紗の博多献上帯を半幅帯に仕立てたものを、帯締めをつかって、貝の口に結びました。貝の口は、角帯(男性用の細い帯)の最も代表的な結び方。なので、ちょっと男っぽいキリッとした感じ、カジュアルな感じ、を出したい時によく結びます。

しかも、この日は歌舞伎を見に行ったので、狭い椅子に長時間押し込まれることを考えて、なるべく平らで小さくてラクな結び方にしていこう……と思ったのでした。なんて書くと、歌舞伎座に半幅帯をしていくなんて! と思う方ももしかしていらっしゃるかもしれません。でもいいんですよ〜、だって何しろ3階席ですから。洋服だったらジーンズで行っちゃうようなところですもの。

それに、余談ですが、半幅帯にもいろいろあるなぁ、と思うのです。たとえば、思いっきり浴衣専用!って感じの半幅帯を、思いっきり浴衣専用!って感じの締め方(たとえば、黄色と赤のリバーシブルでポリエステル素材の半幅帯を、リボン結びにするとか)にすると、浴衣にしか合わせられないかもしれないなぁとも思いますが。でも、たとえば絹の半幅帯だったら、絹のキモノに合わせて、普通のキモノをちょっとカジュアルダウンさせることもできる。結び方も貝の口や矢の字や片流しや文庫にしてもいいし、帯締めや帯留めをつかえば、カジュアルになり過ぎるのを食い止めることができます。



というかそれよりも何よりも。何て言ったって、ラクなんですよね〜! 半幅帯って!! お太鼓をつくらなくていいってだけで、着付けへの精神的負担が激減(笑)。それに、何と言っても夏は、背中にお太鼓しょって、帯枕しょって、帯揚げしょって……っていう状態、かなり、暑い……。真夏にお太鼓結びをしていると、「凄まじい猛暑のなか背中に座布団みたいなものをしょっている自分とそれに疑問をさしはさまない人々」という内田百間阿部公房ライクな世界観を味わえます。だけど、そんな背中への謎な負担も、半幅帯を活用すれば激減すること間違いなし。ああ、ラク……。

そう言えば、先日、8/6のトークショウ(詳細はこちら)のネタ探しのために、五社英雄監督(大好き)映画『陽暉楼(ようきろう)』のDVDを引っ張り出して久しぶりに見てみたら、くつろいだ日常シーンでの登場人物たちは高い割合で半幅帯を締めていました。ちなみにこの映画の時代設定は、大正時代〜昭和初期にかけて。つまり、昔の一般庶民の日常スタイルは、半幅帯だったのではないかと。普段からお太鼓結びして家事やったり買い出しに行ったりって……相当面倒ですよね。たぶんお太鼓結びって、ちょっとしたよそ行き、ちょっとしたピンヒール、みたいな感じだったのではないかと思ったのでした。



先日、日舞のお稽古に行ったときのキモノ。



紫地に蔓葡萄の模様の、絽のキモノ。このキモノはとある方からいただいたもので、これも初めて着てみました。帯は、上と同じ紗献上の半幅帯で、この日は矢の字結びにしました。

ちなみに、紗とか絽などの、夏の透ける素材のキモノのときの襦袢は、絶対に白(透けるから)。ちょっと正式な場所に行く時は、「絽(絹)の長襦袢」を着ますが、普段のお出かけには、「絽(ポリエステル・胴部分のみ木綿)の半襦袢&裾よけ」にして洗濯機でガンガン洗ってます。襦袢の下は、「木綿の肌襦袢(赤いフチがついている踊り用のもの)」がお気に入りです。

さらについでですが、先日見に行った歌舞伎座での演目『夏祭浪花鑑』では、中村勘太郎がお辰の役をやっていましたが、黒無地の透け感のある透綾(すきや)のキモノで、下に着ているのは、イキナリ袖ナシの襦袢でした! つまり、黒無地のキモノから、腕のナマ肌が透けて見えるわけですよ。色っぽいですよねー。ただ、二の腕のところに赤いラインが入っているのも透けて見えて、肌襦袢の端についているフチどりかな? とも思ったのですが、何しろ3階席から見ていたので詳しいことはわかりませんでした。とにかく、昔は、透けるキモノの下に、袖なしの襦袢を着る、なんていう着方があったんですねぇ。色っぽい夏キモノ姿でした。



にしても、夏のキモノって楚々として風情があるように見えますけれど……、夏のキモノを脱いだあとって、実は、かなり、興ざめなんですよね……。何やら胴回りにいろいろなものを着つけては、何度もヒモで縛り、その上からまた帯を締める、わけで。一日中キモノを着て、イヤというほど汗をかいて、帰宅してキモノを脱いだ自分のお腹を見て、絶句。胴まわり一帯に、ヒモや布地の「跡(あと)」がマダラ模様に刻み込まれて、まるで「型押し」状態。さらにその型押しされた表皮が真っ赤になっちゃて、それこそ「汗疹(あせも)」寸前。決して「痒くないですとは言えないです」な微妙な感覚。真夏のプチ壮絶。……って話をあまり聞かないのですが、これって私だけ?(もしかしてキモノ業界では公然の禁句事項だったりして……。だとしたらごめんなさい笑)。夏のキモノでデートしてその後キモノを脱ぐ……みたなシチュエーションのときは、注意したほうがいいですよ〜〜私はそういうの無いから別に気にしてませんけど(というより「キャーすごーい!見て見て〜」とか言って呆れられるタイプ)。



……という感じで、引き続き、この夏もキモノと格闘中。えと、肉体的だけでなく、精神的にも格闘してます(笑)。8月6日(木)にUPLINK FACTORYで行われる、日比谷カタンさんpresentsライヴ&トークショウ「対話の可能性」vol.5(詳細はこちら)では、その格闘の成果(?)を披露できるかと。。さまざまな大人の事情で拙書『色っぽいキモノ』には載せられなかったヴィジュアル要素を大公開しつつ、改めて「色っぽいキモノって何よ? っていうか、色気って何よ?」について謙虚に真剣に(笑)考察する予定です。『続・色っぽいキモノ』な感じで、より深く発展させた話をしたいと思っておりますので、ぜひいらっしゃってくださいね……!


 
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