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【着物】 キモノと年齢のバランス問題。  〜もしくは、粋なテイストの似合う年齢について。

2009.06.15 Monday

最近なんだかんだと忙しくてちょっとバテ気味なのですが、そんな合間を縫い縫い、キモノを着たりしておりました! (というか、月影屋in新宿伊勢丹では、毎回☆柄浴衣をきてガンバっておりますのでぜひいらっしゃってくださいね! 詳細はこちら

先週は、音曲師・柳家紫文師匠の三味線ライブ@文鳥舎に、キモノで行って参りました。



浅黄色に紫色で薊の花を織り出した、単衣のキモノ。紫色の紗の博多献上帯。


この単衣は、もう8年くらい前、キモノを着るようになった初期の頃に買ったのですが、どこで買ったのかも全く覚えていません。気に入って買ったものの、「私にはカワイすぎる」と思って一度も着ていませんでした。え? 「私にはカワイすぎる」と思っていたくせに、どうして今になって着るようになったのか、って? それについては、周囲でキモノを着る30代の女性に聞いてみてください……(笑)。

そうなんですよね。キモノと年齢のバランスって、洋服と年齢のバランスとは、また微妙に違うのです。実は、私がキモノの着こなしで難しいなぁと思うのは、そこです。



というわけで、今日のテーマは、「年齢とキモノのバランス問題」、です。

洋服だと、私はカジュアルな服が好きなので、平気で109で服を買って、髪もツインテールとか三つ編みとかに平気で結っていますが(←いつまでできるかチャレンジしてみる)。全体のラインが大人っぽくて、クツとバッグさえキチンとしていれば、ある程度は何とでもなるように思っていますが(自分で思ってるだけかもしれませんが)、キモノは、そういうわけにいかないなぁ、と思う今日この頃。

だって、キモノって、全体のデザインやラインは誰もが同じですよね。だから、デザインやラインで何かを表現するのは、ほぼ不可能。となると、「色」と「柄」と「素材」で、表現するしかありません。さらに言えば、「素材」も大事だけれど、パッと見でわかりやすいのは、「色」と「柄」、です。

というわけで、かなり見た目の印象を左右する、色と柄。でも、色と柄で若作りすると、顔との差が強調されて、とたんに老ける。でも、だからといって色と柄を地味作りにすると、顔の老け感を強調して、これまた老ける。うわー難しい!!! 



そこで最近試しているのが、基本は大人っぽいテイストにしつつも、「色」「柄」「素材」の3要素のうちの、どれか一つだけをちょっとだけ若くカワイイ感じにしてみる、ということです。

この日もちょっと自分なりに工夫してみたつもり。。キモノの「色」は浅黄色なのでカワイイ感じではありませんが、「柄」は薊の花の模様でちょっとカワイイ感じに、というバランスで。プラス、帯揚げを、私的にはありえない薄いピンクにしてみました! お会いした着物コーディネーターの如月まみさんにも、「ピンクの帯揚げじゃない〜! どうしたのぉ〜!」とさっそくご指摘を受けました(笑)。さすが、プロの方はよく見ていらっしゃいます!



とは言うものの。やっぱり、帯揚げは、いつもの青系統のほうが自分にしっくりくるような気がしました……ちょっとやりすぎたかも。ま、いろいろ試して失敗してみないと、ですね。



ところで、以上の話は、若く見せたい場合の話です。若い方は、大人っぽく見せたいっていうこともあるでしょう。私は童顔系なので、20代の頃はとにかく大人っぽく見せたくてしょうがなくて、お洋服も黒ばっかり着ていましたし、キモノも地味なものばかり着ていました。でも。浅黄色の鮫の江戸小紋とか、黒と茶の縞の紬とか、いわゆる「粋(いき)」なキモノばかり買っては、そのたびに、ぜんっぜん似合わない、ってことが多かったのです。なぜだろう? って、凄く不思議でした。洋服なら、黒くてシンプルなものなら着こなせるのに、なぜ? と。

今から思うに、キモノは、デザインやラインなどの形が一つしかありませんから、単にその人の素材(年齢や状態)が、そのまま出やすい、ということなのではないでしょうか。ごまかしが効かないというか。だから、単純に、あどけない表情の顔に、その年齢とあまりにもかけ離れたイメージの色や柄を合わせると、「ちょいと無理しちゃってる感」が出てしまうのかも。

でもそれはそれで、アリだと思いますけれどね。洋服のときだって、20歳くらいの若い女の子であればあるほど、大人の女って感じのセクシーな格好をして厚化粧でバッチリ決めてますし、実際の30歳くらいの大人の女であればあるほどナチュラルメイクに力の抜けたファッション、っていう傾向もありますし。若者は背伸びし、非若者は若作りする、それがこの世の習い(笑)。

ちなみに言えば、江戸時代では、若い女性でも、焦茶色に縞の紬、みたいな地味で粋なテイストのキモノを着ているのがカッコよかったそうです。これも、背伸びの文化のひとつではないかと。でも、江戸時代においては、20歳すぎで既に「年増」、25歳すぎで「中年増」、30歳を超えたら「大年増」(!)と言われた時代なので、若い女性って、一体何歳よ? っていう気もして、ちょっと参考にしにくいです(笑)。



でも、20代の頃の私が粋なキモノが似合わなかった、もっと大きな理由は、実は、キモノにおける「粋(いき)」なテイストって、ある意味で「枯れ」テイストのことでもある、ということにあるのではないか、とも思ったりしています。もちろん一概には言えませんが、なるべく色味や派手さを抑えて暗く地味にしたものが、「粋(いき)」なテイストですから……。柄なら、無地、縞、模様がついていても裾や裏にほんのちょっと、もしくは目を3cmくらい近づけてみないと見えない地模様を。色なら、黒、紺、茶、深緑、鼠色を。なるべく、模様のない世界へ。なるべく、色のない世界へ。「まだまだ色気のある大人」を通り越して、「色気の枯れた境地」へ。大人を通り過ぎて、老境へと(笑)。

やっぱり、ピチピチしすぎてた20代の私には、老境テイストはあまりにもかけ離れた世界すぎて難しかったのかも……(とくに、童顔だったし)。老境テイストは、ピチピチしすぎていないけど色気もまだ枯れていない、でも色気が枯れることも視野に入っている、そんな酸いも甘いも苦いも辛いも噛み分けられる大人にこそ、似合うはず。なんて、そんなふうに思ってますけど、どうでしょうか?! 


 
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