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【日舞】 日本舞踊のススメ。 〜「日本人に生まれてきてよかった!」と思うためのささやかな提案について

2009.03.31 Tuesday

桜が咲き、コートがジャケットに、カシミアがコットンに、身体も心も少しずつ軽くなるこの季節。猛烈に「身体を動かしたい!!!」という激しい欲求におそわれ、いつものピンヒールをスニーカーで蹴っとばして部屋を飛び出し、あちらこちらでピョンピョン飛び跳ねている昨今です。

……って、こないだまで思いっきり冬眠してたくせに、何。この変わり身の早さというか、別人格がイキナリ憑依する多重人格なところ、我ながらちょっと気に入ってます(お目出度いです)。だって、いつも同じ人格やってなきゃいけないなんて、つまらないじゃないですか? 「私はこういう人」って、自分で決め付けないほうが、よいですよー。周囲はちょっとイヤがるかもしれませんが、そんなの気にしなくって大丈夫! 自分が退屈しないで楽しく生きることのほうが、100倍も大切ですから。私は時と場合によって、コロコロ人格変わっております。でも他人から見ると「変わってないね…」だったりするらしいので笑、あくまでも本人意識の問題。
(左上は、日舞仲間のMちゃんが祇園甲部「都をどり」で撮影してくれた、舞妓ちゃん画像)



楽しく身体を動かす方法って、いろいろあるかと思います。ジムに行ったり、ジョギングしたり、テニスやサッカーとか、ヨガとかピラティスとか。私の場合は、踊ること! です。踊るといっても、超自己流ですけど、別にいいんです、楽しければ。他人を喜ばせるためのダンスではなく、自分が自然に笑うためのダンスなので(って、他人に笑われてるかもしれませんけど笑)。あ、でもそんな私でも、一時期、バーレスクダンスの女王TAMAYOさんの「バーレスクダンス講座」に通ったこともありました〜(いや、TAMAYOさんのオーラが凄かったです……ホントに!)。

それから、そんな自己流ダンスのほかに私が大好きなのが、日本舞踊。習い始めてちょうど8年目になるくらいですが、やっと最近、「日本舞踊を踊るって、こういう感じかな……」という感触をつかみかけてきたように思います。と言っても、日本舞踊という大きな花の茎に生えてる柔毛の末端1ミリに触れるくらいの感触、ですけど。って、ずいぶん時間かかってます(笑)。

でも、何かがカラダに染み込んでいくには、やっぱり時間がかかるものなのではないでしょうか。英語の習得なんかと同じように(って、習得したこともないくせに言う笑)、なだらかなラインを描いて少しずつ上達するというよりも、あまり変わりばえのしない停滞期間がずっと続いて、あるとき突然、「あ、今、ちょっと、分かったかも!」というブレイクスルーが訪れる。だけど、その後また変わりばえのしない期間がずっと続いて、またブレイクスルーがイキナリ訪れて。で、また停滞期間が続いて、また何かが分って……っていうことの繰り返し。モノゴトって、そんなふうにヒトのなかに染み込んでいき、そんなふうに上達していくものなのではないか、と思うのです。



踊り、ダンス、っていうと、つい西洋的なものを思い浮かべられがちなので、「日本人は踊りが苦手だ、なぜなら日本人はシャイだから」という単純な発想をされることが多いかもしれません。でも、日本人は、昔から踊り好きな民族です。断言! 鎌倉時代に仏教と踊りが合わさった念仏踊りが大流行したそうですし(それが盆踊りの源流と言われてます)、歌舞伎舞踊だって昔は見ているほうも一緒になって踊っていたそうですし、昔の日本映画を見るとお座敷では芸者さんとお客さんは一緒になって踊ってます(つまり、見てるだけではなかったのです)。

だいたい、踊り好きじゃない民族を探すほうが、難しいくらいですよね。だって、音楽と踊りって、人間の原始的な衝動に基づくものですから!



だけど今、日本の踊りには、盆踊りや阿波踊りのようなその土地の踊りと、役者や舞踊家による歌舞伎舞踊とがあると思うのですが、どちらも現在では日常的なものになっているとはいいがたい状況。確かに、子どもの頃、盆踊りの練習は毎年やりましたけど、夏祭りの時だけですし、音楽は演歌ですし(って、演歌は演歌でよいのですが、それはまた別の話で)。特別な環境で育たない限りは、日本舞踊も三味線音楽も、特に縁がないのがフツウです(ちなみに、私は全く縁がありませんでした)。

その結果、「日本古来の踊りや音楽なんて、何やってるんだかよくわかんないし、自分が踊ったり演奏したりできないのはもちろん、それを見たり聞いたり味わったりすることさえできないし興味もない」って……、とっても寂しいことじゃないでしょうか? それは、たとえば、フラメンコの踊りや音楽をサッパリ理解できないスペイン人とか、インドの踊りや音楽をまったく知らない上にむしろ古くさいものとしてバカにしているインド人、みたいなもの。それって、単純に、とっても寒々しい感じがしませんか? どうしてそうなってしまったんでしょう?

やはり、モノゴトを理解し楽しめるようになるには、そのモノゴトがヒトのなかに染み込んでいくための、「適切な訓練」と、「ある程度の時間」が必要です。だから、今の私たちが、日本の古くからある踊りや音楽を、自然に楽しむことが困難であるとするならば、それは単に、ある時代までは確かにあったそうした環境や習慣が与えられなくなってしまったから、ということに尽きるんだと思うのです。

じゃあどうしたらいいのか? ということになってしまうのですが、じゃあどうしたらいいのかというと……、自分でひたすら見たり聞いたりやってみたり、するしかない。他人や環境が自然に与えてくれないのならば、自分で自分に与えてあげるしかありません。って、至極あたりまえな、結論。教育のせいだ政治のせいだ戦争のせいだ何とかのせいだって言ってたって時間の無駄ですものね、時間は有限ですから。
(右上は、5年くらい前に日本橋三越での神楽坂芸者の踊りの会での画像)



そこでぜひぜひオススメしたいのが、歌舞伎公演や、日本舞踊の会など、プロレベルの舞台を実際に見に行くこと、です。DVDやCDもよいのですが、直接見るのと比べたら、確実に体験の濃度が10分の1くらいに薄まってしまうので、直接見るのが絶対にオススメ。

歌舞伎っていうと、お芝居のほうばかり注目されがちで、踊りの演目はちょっとした箸休めのように思う人もいるかもしれませんが、とんでもないです〜、歌舞伎のキホンはあくまでも踊りにあります。歌舞伎役者さんにしろ、舞踊家さんにしろ、プロの方の踊りは凄い、です! 鳥肌、立ちます。涙も出ます。それに、日本の音楽(特に三味線音楽)は、踊りのために作られたものが多いので、踊りの舞台を見れば、日本の踊りと音楽の両方がカラダにぐわ〜〜っと沁み込んできます。一石二鳥。

つまり、私が言いたいのは、歌舞伎舞踊や日本舞踊は、特別な環境にいる人や、特殊な好みをもった特殊な人のものではない、ということなのです。日本の踊りは、日本人みんなのもの! バレエやミュージカルを見るように、気軽に日本舞踊を見に行っていいのです!(大昔の私は、シロウトが気軽に見に行っちゃいけないんだと思っていましたが……) もちろん、自分もやってみることができるなら、こんなに楽しいことはありません。「日本人に生まれてきてよかった」と、心から思えるのって、理屈抜きで嬉しいものですよ〜。



だって、どう考えたってどう見たって、日本人に生まれて日本に育って日本語で暮らしているんだもの。いくら海外のものをせっせと摂取したって、自分が日本人であることに変わりはなく。だったら、海外のものと同じように、日本のものも大事にして、同じように良さを認めて、より自分を活かしていきたいですよね。じゃないと、「私、フランス人に生まれていれば良かった……」なんてことになっちゃったりして、それって、もの凄くカッコ悪いじゃないですか(笑)。あ、でも、「そんなカッコ悪さなんて構わない、私はフランス人になりたいんだから放っておいて頂戴!」って方は、それでもいいと思います、そういうのもアリだと思います!(念のため) 

でも私は、日本人として生まれて育った以上は、日本人としての誇りと矜持をもって生きていきたいと思うのです。それは、闇雲に「オレは日本人だ!」と威張ることでもないし、今現代の日本について知っていればいいとか、教養知識学問があればいいっていう単純なものでもない。過去から現代に至る長い時間のなかで何がどのように素晴らしいのかを身に沁みて理解し、そして現代から未来に向かってそれをどのように活かすことができるのかをイメージする、そんな過去・現在・未来という広いパースペクティヴをもったとき、やっと立ち現れる、誇りと矜持。それを持つことは、東京オリンピック開催より急務の国家的課題なのではないかしら……なんて偉そうに思いつつユニクロのフリースに首をひそめる、花冷えの夜なのでした。




というわけで、確実に行く予定の“踊りイベント”私的メモ。以下。みなさまもぜひに……!


◆「四月大歌舞伎」@歌舞伎座
4月2日(木)〜26日(日)
→詳細はこちら
夜の部の『廓文章』は、踊りの演目ではありませんが、玉三郎の花魁(おいらん)夕霧と、仁左衛門の放蕩色男(当然、ちょっとバカ)伊左衛門という、美形コンビの滑稽なやりとりが絶品に決まってるので必見。踊りもちょこっとあります。


◆「五月大歌舞伎」@歌舞伎座
5月2日(土)〜26日(火)
→詳細はこちら
踊り好きにはたまらない演目がズラリ。
人間国宝の富十郎と魁春による『寿猩々(ことぶきしょうじょう)』、人間国宝の芝翫(大好き!)による『手習子(てならいこ)』、菊之助と松緑と尾上右近の若手3人による『戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)』、菊五郎と時蔵による、悪党・小猿七之助と御殿女中・滝川のお芝居を舞踊化した『夕立』、海老蔵と菊之助と松緑による『鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)』などなど。私、全部見ます(笑)!


◆「三世宗家家元 花柳寿輔 三回忌追善舞踊会」@歌舞伎座
5月28日(木)〜29日(金)  11:00〜  16:00〜
朝から晩まで踊り漬け!の素晴らしい2日間。
私の師匠花柳美嘉千代先生が、28日昼の部の『季の移ろい』に出演されます! また、29日昼の部には仁左衛門さんと花柳寿楽さん(錦之輔改メ)の『連獅子』も! そのほか、花柳流の凄い方々が勢揃い! 全部、見たいです……。


◆「錦会」@国立劇場 大劇場
4月29日(水)
→詳細はこちら
人間国宝であった故・花柳寿楽さんの家系である、花柳錦之輔さんと花柳典幸さんの踊りの会です。


◆「放蕩娘〜vamp〜の青空マーケット」@青い部屋
5月31日(日) 昼下がり〜夕飯時まで
バーレスクダンサーであり女優であるTAMAYOさんの、ダンスショウあり、フィルム上映あり、フリーマーケットあり、浅草ロック座からの掘り出し物あり?!な、日曜の昼下がりイベント。
→詳細はこちら
ちなみに、↑上記のページでは、金子国義氏撮影の写真集『Drink Me Eat Me』でモデルになったTAMAYO姐さんの美しい裸身が拝めます…! ゴージャス&カッコイイ! 眼福ー! (しかも『色っぽいキモノ』をオススメBOOKにあげてくださってる!! 嬉しすぎ…!)


◆「春風」@代々木公園 野外ステージ
4月4日(土)13:00〜20:00、5日(日)12:00〜19:30
→詳細はこちら
フリーパーティ「春風」が、久しぶりに開催されるそうです〜! 今年は渚ないし、お花見がてらフラリと行くのがいいな♪ 双子のマルチーズのマルちゃん(ニセ)連れていく予定。


◆「小扇会」@海老名市文化会館 大ホール
4月12日(日) 12:30〜
私の師匠・花柳美嘉千代先生のお弟子さん一堂、小扇会に参加させていただくことになりました。えーと、私は、長唄『汐汲』を美人女優の岡田明香ちゃんと、常磐津『廓八景』を一人で踊る予定です(って、この2曲、思いっきり名取試験の課題曲。ついに試験を受けることになったので、目下、特訓中です……)。よかったら見に来てくださいね。



 
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